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火山の本の紹介
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質問(しつもん)コーナー

マグマ学芸員(がくげいいん)が

質問に答えるよ。

                                     

火山ってなあに

地下深くでできたマグマが地表に

あらわれてできた地形のことだよ。





                                                 

マグマってなあに


マグマはとても熱い(1000℃位)に
溶(と)けた岩石のことだよ。
ここで地球の中の構造(こうぞう)に
ついて少し説明しておくよ。
地球の中は、半熟(はんじゅく)の
ゆでたまごににているよ。地球の
中心は核(かく)と言って内核(ないかく)と外核(がいかく)に
分かれていて、ゆでたまごの黄身(きみ)にあたる部分だよ。
その外側がマントルで白身(しろみ)にあたる部分で、ここで
マグマが作られるよ。
そのマグマが地球の表面にでてくるんだよ。
たまごのからにあたる部分を地殻(ちかく)というんだよ。

火山にはどんな種類があるの

火山の寿命(じゅみょう)[生きている期間]で分けると、

「複成(ふくせい)火山」
何回も噴火(ふんか)[山が爆発すること]をくり返す寿命の
長い火山だよ。

「単成(たんせい)火山」
一回の噴火でその寿命を終わってしまう火山だよ。

火山の形で分けると、

[マール]
爆発的(ばくはつてき)な噴火で地
面にまるいあながあいたような
火山をいうよ。

例:秋田県男鹿(おが)半島の
一の目潟(かた)


                              

[スコリア丘]
火口(かこう)からふき出された火山
灰(かざんばい)や火山礫(かざん
れき)[火山灰より少し大きいもの]
が火口の周囲につもってできた、
すりばちをさかさまにしたような
火山だよ。

例:熊本県阿蘇(あそ)の米塚(こめづか)

                                

[溶岩円頂丘(ようがんえんちょうきゅう)(溶岩ドーム)]
みんなはおぼえているかな。
1991年に長崎の雲仙岳(うんぜん
だけ)が噴火した時にできたのが、
この溶岩ドームだよ。
これは、マグマのねばりけが強く
て、火口から出てきても流れない
で、火口近くにもりあがったもの
をいうんだよ。

                                

[盾状(たてじょう)火山]
玄武岩(げんぶがん)マグマのうちで特にシリカの少ないマグ
マの場合、ねばりけが少なく、火口からでてきてもすぐに広
がってしまい、厚(あつ)さのうすい溶岩となってかたまり、
傾斜(けいしゃ)のゆるい盾(たて)[敵がせめてくるのを防ぐ
もの]をふせたような形をした火山をいうんだよ。

例:ハワイのマウナロア火山

[成層(せいそう)火山]
爆発的な噴火でできた火山灰(かざんばい)や火山礫(かざん
れき)と、おだやかな噴火でできた溶岩流(ようがんりゅう)とが
つみかさなってできた火山だよ。

例:富士山

[カルデラ]
火山の大爆発やその後の陥没(かんぼつ)[落ちこむ]や
浸食(しんしょく)[風・水などが岩などをけずりとること]などに
よってできた円形をしたくぼみで、直径が2kmより大きなもの
をいうんだよ

例:熊本県の阿蘇山

噴火にはどんな種類があるの

火山の噴火には、ものすごい爆発をして、高く火山灰をふき上げるものや、おとなしい噴火までいろいろあるよ。

[ハワイ式噴火]

ねばりけの少ない玄武岩(げんぶがん)質の
マグマが川のように流れ出る噴火だよ。

例:ハワイのキラウエア火山


                                           
                                   

[ストロンボリ式噴火]

ねばりけの少ない玄武岩(げんぶがん)や安
山岩(あんざんがん)のマグマのしぶきが
数秒から数十秒おきに火口からふきあげ
あげられような噴火だよ。

例:イタリアのストロンボリ火山

[ブルカノ式噴火]

ねばりけの強い溶岩の破片(はへん)を遠く
までとばす、爆発という感じの噴火だよ。

例:イタリアのブルカノ火山


                                  
                                   

[プリニー式噴火]

ブルカノ式噴火よりももっとはげしい噴火で、
高さ10km以上も噴煙(ふんえん)をあげる噴火だよ。

例:イタリアのベスビオス火山


                                     
                                    

世界にはどのくらいの火山があるの


世界には800くらいの火山
があるんだよ。
でも火山ができやすい場
所とできにくい場所があ
るよ。
太平洋をとりまく地域と
インドネシアに、多くの
火山があり、南ヨーロパか
ら東アフリカの地域やハワ
イ・アイスランドなどにも分布しているよ。
その中で、最近大きな噴火をした火山を紹介するよ。

[キラウエア火山(ハワイ)]
ハワイ島にあるマウナロア火山
(4170m)とキラウエア火山
(1222m)は、盾状火山で現在も
活発な活動をしているよ。
特にキラウエアは、噴水のよう
なマグマを時々あげているよ。


                                        

                                       

[エルチチョン火山(メキシコ)]
1982年3月に噴火し、44時間にわ
たって火山灰をふきあげ、この時
に30km以上の成層圏(せいそうけ
ん)まで達し、長い間地球の上空
にただよったため、翌年に世界中
の平均気温が0.5度下がったよ。



                                   

[ピナツボ火山(フィリピン)]
20世紀で一番大きな噴火だよ。
1991年6月に大噴火を起こし、
火砕流(かさいりゅう)[雲仙岳で
43人が死んだ原因だよ。高温の
ガスと溶岩の破片がまざって火山
の斜面を猛スピードでかけ下るこ
と。]が四方八方にかけおり、厚さ
が100mにもなり、台風が近くを通ったため、ふりつもった火
山灰は雨水をふくんで重くなり、多くの家々を押しつぶし、
多くの人が死んだんだよ。

[セントヘレンズ火山(アメリカ)]
1980年5月大きな水蒸気爆発を起こし、山そ
のものがくずれ、ものすごい風で周囲の木々
をなぎたおしたんだよ。
この噴火は磐梯山の噴火と同じタイプだよ。
でも、その大きさは、セントヘレンズの方が
ずっと大きいよ。


                                                   

日本にはどのくらいの火山があるの


日本には80くらいの火山
があるんだよ。
日本の面積は37.8万ku
で世界の陸地の0.25%く
らいだから、とてもせまい
所に火山が密集している
んだよ。だから日本は火
山大国ともいわれるんだ
よ。その中でも北海道か
ら東北・関東地方にかけてと九州地方に多いんだよ。
代表的な火山を北から順番に紹介するよ。

[有珠(うす)山](北海道)
北海道の南部にあるこの火山は、
カルデラのふちにできた成層火山
だよ。
最後の大きな噴火は、1977年8月
におきたんだよ。
このそばには、1943年から1945年
にかけてできた昭和新山という
火山もあるよ。

有珠山についてくわしいことを知りたいひとはクリック
(虻田町立火山科学館)

[浅間(あさま)山](群馬県・長野県)
群馬県と長野県との県境にあるこ
の火山は一つの火山ではなく、黒
斑(くろふ)火山と仏岩(ほとけいわ)
火山と前掛(まえかけ)火山の3つ
の成層火山がかさなりあってでき
た火山だよ。
1783(天明3)年に最後の大きな噴
火があり、群馬県を中心に大きな被害があったんだよ。
鬼押出しという所は、この時にできたんだよ。

浅間山についてくわしいことを知りたいひとはクリック(浅間火山博物館)

[富士(ふじ)山](静岡県・山梨県)
日本で一番高い山であることは誰
でも知っているけれど、この山が
火山であることを知らない人も多
いかもしれないね。過去2000年間
に10数回噴火をし、最後の大きな
噴火が1707年にあり南東側の宝
永火口からたくさんの軽石などが
噴出し、南関東一面にふりつもったんだよ。

富士山についてくわしいことを知りたいひとはクリック(富士山の地学)

[雲仙(うんぜん)岳](長崎県)
きみたちはおぼえているかい。
この山は、およそ200年ぶりの1990
年に噴火し、その次の年に発生し
た火砕流(かさいりゅう)で、43人が
死んでしまったんだよね。
1792(寛政4)年の噴火の時は、山
がくずれて津波(つなみ)が発生
し、対岸の熊本県でも大きな被害にあったんだよ。
それを「島原大変(たいへん)肥後(ひご)迷惑(めいわく)」
と言ったんだよ。

雲仙岳についてくわしいことを知りたいひとはクリック(インターネット博物館)

[阿蘇(あそ)山](熊本県)
世界最大規模のカルデラをもつこ
の山はつねに噴煙(ふんえん)をあ
げ、日本を代表する火山だよ。
このカルデラがつくられたのが、
9万年前で、ピナツボ火山の10倍
くらいの大噴火をしたんだよ。

阿蘇山についてくわしいことを知りたいひとはクリック(阿蘇火山博物館)

[桜島(さくらじま)](鹿児島県)
日本を代表する火山で、最後の
大きな噴火は1914年におきたん
だよ。この火山は噴火したり休ん
だりする火山で、現在は活動して
いる期間で、1955年以来噴火をく
りかえしているんだよ。
日本の火山の中でも都市(鹿児島
市)に最も近い火山の一つだよ。

[これらの山以外の火山について]

「全国の火山博物館」のページの中に、大学や研究所・
研究者のリンク集があるので、少しむずかしいかもしれない
けど、興味(きょうみ)のある人はのぞいて見てね。

火山災害(さいがい)が起きる原因には
どんなものがあるの

[火砕流(かさいりゅう)]
雲仙普賢岳の噴火で有名になっ
た言葉だよね。
高温の火山ガスと溶岩の破片が
まざって、火山の斜面をものすご
いスピードで走り下るものだよ。
温度は数100度から1000度位で、
速度は数10kmから200km位だよ。
噴火による災害の中で最も多くの人が亡(な)くなる原因だよ。

[火山による津波(つなみ)]
噴火による山くずれや火砕流などが、海に入って起きる現象
だよ。
日本での最大の火山災害は、1792(寛政4)年の雲仙普賢岳
の噴火の時に発生した津波で、約15000人の人が死んだん
だよ。

[火山泥流(でいりゅう)]
噴火した時に、火山噴出物(ふんしゅつぶつ)[火山から飛び
出したもの]が湖の水や雪とまざって泥流になるんだよ。
1926年の北海道の十勝岳では、2月の雪が多い時期だった
ので、雪がとけて大量の泥流が発生して、144人が死んで
いるんだよ。

[火山ガス]
1997年に、青森県の八甲田(はっこうだ)山で3人、福島県の
安達太良(あだたら)山で4人、熊本県の阿蘇山で2人と全国
で9人も死んでいるんだよ。
火山ガスには、様々な種類があるよ。
八甲田山の時は二酸化炭素(CO2)で、安達太良山は硫化
水素(H2S)で、阿蘇山は二酸化硫黄(SO2)だよ。
火山や温泉で「いおう」のにおいがした時は、みんなも十分
気をつけてね。

今までにどんな火山災害(さいがい)があるの

[世界では]
・タンボラ火山(インドネシア) : 1815年に火砕流と餓死(が
し)[食べ物がなくて死ぬこと]で約92000人が死亡したよ。

・クラカトア火山(インドネシア) : 1883年に噴火による津波
(つなみ)で約36000人が死亡したよ。

・モンプレー火山(西インド諸島) : 1902年に火砕流で約
29000人が死亡したよ。

・ネバドデルルイス火山(コロンビア) : 1985年に火山泥流
で約25000人が死亡したよ。

[日本では]
・雲仙岳(長崎県) : 1792年に津波で約15000人が死亡したよ。
・浅間山(長野県・群馬県) 1783年に火砕流・火山泥流で約1200人が死亡したよ。
・渡島大島(北海道) : 1779年に津波で約1500人が死亡したよ。

磐梯山はどんな火山なの

最後にここ磐梯山の話をしようね。
この山が火山であることはあまり知
られていないんだよ。
それは、この山がずうっと噴煙をあ
げたことがないからなんだよ。
でも、1888年7月に水蒸気爆発で
山がくずれ、477人も死んだよ。
この時の死んだ人の数は、明治時代以降では、日本で一番
大きな火山災害だったんだよ。100年以上もたつと、みんな
磐梯山が噴火したことなど忘れてしまうんだね。
しかし、この時の噴火で、川がせきとめられて五色沼や桧原
湖などの美しい湖や沼がたくさんできたんだよ。
だから、火山は恐ろしいものだけれど、一方では美しい景色
を作ったり、温泉がわきでたり、いいこともあるんだよ。

磐梯山についてくわしいことをしりたいひとはクリックしてね。

五色沼はどうして変わった色なの


五色沼のほとんどの沼は青い色
に見えるけど、それぞれ少しづつ
ちがっているんだよ。
それは、沼の中にとけこんでいる
成分のアロフェン(主な成分はケイ
素とアルミニウムが酸化したもの)
をふくんでいる量がそれぞれちがうからなんだよ。
また、赤色に見える沼は、沼の底に鉄の酸化物が沈殿
(ちんでん)[しずんでいること]しているからなんだよ。

火山とぼくたちはどうつきあって
いけばいいの

火山の噴火や台風・地震などを自然災害というけど、この
発生を防ぐことはできないよ。だけど、そのしくみを知って
いると、被害(ひがい)をできるだけ小さくすることはできるよ。
火山は噴火する前に、異常[普通でないこと]な現象[形として
現れ見えること]を起こすことがあるよ。
地割れ[地面にひび割れができること]や火山性地震[火山で
起きる地震]など様々なことが起きるよ。
そういうことが起きると、「火山のそばから逃げるように」
という命令が市長さんや町長さんから出るから、すばやく逃
げられるようにしていなければいけないよ。
そのためには、毎年避難訓練(ひなんくんれん)をすることだ
よ。
君たちも地震や火事にたいする訓練はしたことがあるよね。
その火山版(ばん)なんだよ。
このようにきちんと日ごろから準備をしておくことだよ。
あとは、いろいろな火山を見に行ったり、温泉に入ったりし
て楽しめばいいんだよ。
日本は火山が多い国なんだから、じょうずにこの火山とつき
あっていかなくちゃね。

このページを書くのに参考にした本

「火山と地震の事典」 藤井 敏嗣 著 大日本印刷 
「火山・地震(ビジュアル学習図鑑)」
エルドリッチ・M・ムアーズ 著 金の星社 
「火山をさぐる」 白尾 元理 著 岩崎書店
「地震と火山(新版地学教育講座2)」
地学団体研究会 編 東海大学出版会
「裏磐梯自然ハンドブック」 冨田 國男 編 自由国民社
「災害はやってくる」 秋山 滋 著 岩崎書店
「火山(その監視と防災)」 気象庁

マグマ学芸員に質問しよう!

ぼくは、君たちからの質問をまってるよ。

火山のことや磐梯山のことや五色沼などについて、

疑問に思ったことがあったら

どんどん電子メールでしつもんしよう !

あてさき:maguma@akina.ne.jp

火山については、まだまだわからないことがいっぱいあるよ。

マグマ学芸員にもわからないことがあるけど、がんばって答えるからね


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